2025年2月に入り、都内の中学受験も終了となった。
2月1日午前・午後、その合格発表が夜にあって、結果を踏まえて2日の午前・午後、さらに3日の午前・午後と、あっち行ったりこっち行ったりしての受験で生徒も保護者もたいへんな数日である。
チャレンジ校という少し背伸びした学校には落ちたもの、第一志望校には見事合格して1日で受験が終了する生徒もいれば、思わぬ不合格でこちらもびっくりしながらの2日目という生徒もいた。
中には6校連続不合格という過酷な中で日々受験しなければならない生徒もいて、その精神的負担を考えると私も寝るに寝られないぐらい胃が痛い毎日。
この生徒は最終的に難関校の繰上合格が決まり、親子・講師陣共々が涙を流しながらの合格報告の場となった。
私はあまりにホッとして腰が抜けそうになったぐらいである。
やはり都内の難関校を合格するのは簡単なことではない。
体調も万全で、過去問もひたすら解き、通塾している進学塾の対策講座を受講してB判定が出ていても僅差で負けることがあり得るのだ。
まさに1問の正解・不正解の差で合格・不合格が決まるので、安心して送り出したものの結果は残念ということも多い。
受験本番には魔物がいるとはよく言ったものである。
しかし、その中で実績を残していかなければ今の塾業界を生き抜いていくことは難しい。
昨年・2024年の全国にある学習塾の倒産は53件と前年比17.7%増で過去最高数だったらしい。
負債総額はなんと117億円以上と前年比の9倍だ。
九州に拠点を持つ中堅規模の学習塾でも倒産したのは記憶に新しい。
少子化が回避できない状態の中、子どもを取り巻く教育環境は目まぐるしく変化しており、集団指導と個別指導というくくりだけでなく、オンラインレッスンや動画配信などデジタルコンテンツもどんどんシェアを拡大しており、塾業界は過当競争時代に突入している。
いくらでも選択肢があるとなると、
顧客の注目点は
今まで以上にシビアな価格と実績の比較となるだろう。
価格競争をしたら個人塾などは大手企業の体力には到底かなわない。
いずれは必ず淘汰されてしまう。
やはり勝負は実績となる。
この点については顧問税理士の天海さんとも共通の認識だ。
天海さんは、アサヒビール株式会社の名誉顧問を務める中條高徳氏の言葉
『小が大に勝つにはね、
1点集中しかないんだよ』
を引用されていた。
はっきり言って、私の学習塾が単独で難関校合格者を大勢輩出するのは無理難題だ。
オンライン部門の生徒は、実際には大手進学塾に通いながら、我々はその補完的な役目を担って弱点を補強し、さらに応用力に磨きをかけている。
それだって棲み分けといえば棲み分けであり、共生といえば共生。
全体を見渡して、
自分たちの役目の完遂に徹底して取り組むことで、
大手進学塾の生徒を共に合格に導きられれば、
市場規模は縮小するどころか
まだまだ大きくすることが可能なのだ。
イメージとしてはコバンザメのような感じで誇らしい気持ちになるのは難しいのだが、それは役割として受け止める。
おそらく日本中のオンラインレッスンサービスを提供している企業が同じようなことを考えているに違いない。
どれだけ大手進学塾とタッグを組めるのかと。
実際のところ都内の最大規模の進学塾は、カリキュラムの進度の速さや宿題の量・難度から、個別指導や家庭教師に頼ることも勧めている。
補完する役目を担うツールがなければ脱落していく塾生は多くなるので、第三者にも頼っているのだ。
都内受験は中小の学習塾と大手の進学塾が共生を望んでいるといっても言い。
集中すべき市場は都内受験だろう。
大手進学塾の清洲予備校が進出してきたが、オンライン部門は地元のパイを奪い合うビジネスではないのでまったく支障がない。
オンライン部門への一点集中、これが過酷な塾業界の今後を生き抜く術なのだ。