【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】
定期試験の結果は予想通りにはいかなかったものの、塾に通い出す前よりかは結果を出すことができた点と、中学受験を間近に控えた小学6年生の男子生徒二人が最近の模試で偏差値が上がってきている点は、まずまず順調なスタートを切れたと受け止めている。ただし、塾生数が増えているわけではなく、むしろ転校して一人減るので、この点は大きな問題だった。
今日は顧問税理士の天海さんと定期的に行っている相談会なので、現状をありのまま伝えた。
「オンライン授業の生徒を受け付けるためにホームページをさらに魅力的なものに改善しつつ、他にできる手を打つべきじゃな」
「他の手ですか? とは言ってもなかなかないんですよね・・・・・・」
「今回の試験結果については、家庭には報告したのかな?」
「はい。生徒自身もそうなんですが、家庭でも得点が上がったことと、勉強の習慣が身についてきていることは実感していますし、感謝もしてくれています。クラスの平均点が下がってきている中で得点が上がっていますから、順位も上がったと喜んでいました」
「ほう。じゃったら、そこで以前話をしたように直接お願いをしてみたのか?」
「直接お願い? ああ、同じように勉強を頑張りたいというお友達がいたら声をかけてくださいっていうお願いですか。そこは触れていませんでした。ちょっとしつこいかなって思ってしまって」
「そこは自然な流れでお願いできる営業トークを身につけなければならんな。以前は体験会に来る際にお友達に声をかけてみてくださいという展開じゃったが、今回は実際にこれまではじめさんの指導を受けてきて満足している状態じゃから、生徒や親御さんの熱量も変わってきておるじゃろう。その熱力が説得力に比例するものじゃ」
「確かにそうかもしれません」
「人というものは、うまいラーメン屋を見つけたら、普通は周囲の人たちにその感動を伝えたくなるもの。
実際にそのサービスを受けている
顧客の口コミが
最大の影響力を持つ広告となる。
不満を持っているのであれば逆効果で悪評が広がってしまうが、感謝しているのであれば、積極的にお願いしても図々しいということはない」
「そこはまったく踏み込めていませんでした」
「ひとつの案ではあるが、紹介制度を導入してみてはどうじゃ?
勉強を頑張りたいという
お友達を紹介してくれたら、
御礼に何かプレゼントするという方法もある。
紹介する側もメリットがあるのでより積極的に声がけしてくれるようになるかもしれんぞ」
「なるほど、紹介制度ですか! 確かに以前に勤めていた学習塾にもそういったサービスがありました。講習会に参加してくれる新規生の8割は塾生の紹介だった記憶があります。一人で同じ学校の生徒5~6人を紹介してくれる塾生もいましたね。部活繋がりの後輩を紹介してくれる塾生もいましたし」
「冬期講習会は12月下旬になるからの、そこまで待っていられる状況ではあるまい。その前に塾生数を増やしておく必要があるじゃろう。であれば、今回の定期試験の結果が出た今が一番良いタイミングになるのではないか?」
「今回の定期試験は、同じバレー部の友達がかなり苦戦していたと話していました。そうか、ここで声をかけてもらうのが一番効果的なんだ!早速戻って紹介制度の内容を決め、生徒たちに伝えてみます」
「まずは一度無料体験会に参加できるようにした方がハードルが下がって来やすいぞ。どんな反響があるのか楽しみじゃの」