【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】
顧問税理士の天海さんのアドバイスを受けて、早速紹介制度の導入に着手。
紹介してくれたお友達がそのまま入会すると決まった場合、5つの最先端文具の中からひとつ選んでゲットできるということにしてみた。最先端文具といっても単価で千円未満。ひとりでも入会してくれると毎月の固定売上が2万円伸びるわけだから、これぐらいのコストは許容範囲内だ。
受験を間近に控えている小学6年生の2人は微妙な時期なので、こちらには軽く伝えるだけにしておき、定期試験の終わった中学2年生の2人にはかなり積極的にお願いをしてみた。2人ともとても乗り気で、すでに文房具をどれにするか悩み初めているほど。ただし子ども視点と保護者視点ではギャップがあるので、友達が行きたがっても、その親が許可してくれるかというとなかなかハードルは高い。期待して待っていても、親の許可が下りなかったという残念な結果に終わることの方が多いのだ。
しかし、予想に反して翌週すぐに申し込みがきた。それも一気に5人。全員が塾生の2人と同じ女子バレー部の同学年。そこで初めて知ったのだが、塾生の2人は夏休み明けから中学3年生の先輩方が引退し、代わりにキャプテンと副キャプテンになっていたのだ。この影響力は間違えなく大きい。しかも素行にはまったく問題のない2人の友達だから、同じように素直にアドバイスを聞いて、頑張れる生徒たちに違いない。
私はこの吉報を慌てて天海さんに電話で伝えた。
「ほうほう、それは良かったの」
思いのほか冷静な反応。もっと喜んでくれると思っていたのだが・・・・・・。
「よいかはじめさん、勝負はこれからじゃ。申し込みがきたとは言っても、あくまでも無料体験会の話。それならOKという保護者も多い。
そこから入塾に持ち込むには戦略が必要じゃ」
確かにそうだ。5人も一気に申し込みがきたので浮かれていたが、参加してくれただけで終わってしまっては意味がないのだ。しかも集団指導ではない、個別指導で5人を対応し、それぞれ満足させていく必要がある。簡単な話ではない。
「ポイントは5人のうち1人か2人入会してくれればいいと思わぬことじゃろう。5人全員に入会してもらう、その意気込みと準備が大事」
「そうですね。5人一緒に始めるっていうのが一番スムーズにいきますね。きっと3人の入会がすんなり確定すれば、悩んでいる残り2人もだったら私も一緒に始めようとなるはずです」
「できる限り事前にその子たちの情報を入手しておくこと、そして短い期間の体験会という時間の中で、
お客様の一番のニーズに応えていくことじゃ」
「一番のニーズか・・・・・・ それは個々で異なっている可能性がありますからしっかり確認していく必要がありますね。しかし、一緒に部活も勉強も頑張りたいという気持ちが強いはずなので、そこをいかにサポートできるかということを生徒にも、保護者にも伝えていきます」
「短期勝負は打てる手が少ない。営業のコツは、
ワクワクできるビジョンを
いかにお客様にイメージさせられるか。
それができれば100%入会率も実現可能じゃろう。ここははじめさんの腕の見せ所じゃの」
「ワクワクできるビジョンですか。天海さんのお話を聞いていて、アイディアが湧いてきまたよ。個別指導の時間枠と教室の仕組みを上手く活用して、これならこの塾に通いたいと思わせることができる方法が閃きました。3日後の無料体験会が楽しみです!!」