【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】
2022年もいよいよ1月中旬。
小学6年生にとってはついに受験本番を迎える時期だ。早いところでは1月10日から受験が始まる。東京都や神奈川県の人気難関校は2月1日~4日に集中しているが、私の学習塾に通っている2人の受験生は埼玉県内の中学校を志望しているので今週が勝負所だ。
2人とも半年前の入塾当初よりかははるかに学力が伸びているが、第1志望校はかなり厳しい。おそらく合格者が多くなる1回目であっても、枠が厳しくなる2回目でも合格には届かないだろう。
問題はその他に受験する第2志望、第3志望の受験になる。夏期講習会に初めて参加し、後日に別の会場で模試も受けてみたところ、第2志望の中学校の合格率が15%、第3志望の合格率でようやく30%ほど。正直な話、全滅もありえる。ただし、塾生になってからというもの意識も姿勢も習慣も激変して、直前の模試では第3志望の合格率が60%まで上がっていた。可能性がまったくないわけではない。驚異的な追い上げをこの2人は見せてくれた。
最近は顧問税理士の天海さんとは、新しく雇う講師についての相談が多かったのだが、今日はさすがに中学受験の話一色である。
「親にとっても、子どもにとっても初めての受験。不安の方が大きいじゃろうな」
「そうですね。ただ、受験目前のこの時期にきて一番慌てているのはご両親ですが・・・・・・ あれだけ新しい問題集には手を付けず、これまで解いてきた過去問などを解き直して仕上げていくよう伝えたのですが、この問題はどう解くのかと最近はひっきりなしに要望がありました。子どもが余計に不安になるのではないかと心配ですよ」
「まあ、その辺りのコツのようなものは初めてじゃとなかなかピンとこんのだろう」
「生徒には事前に受験までの仕上げについて説明し続けてきたので、両親よりも落ち着いていますね」
「なんとか第3志望の中学校には合格して欲しいものじゃの」
「できれば新学期生受け付けの際のアピールポイントにもしていきたいと考えています。夏にこの成績から、ここまで上がって合格を掴んだと具体的に紹介していけば、かなりのインパクトがあります」
「確かにそうじゃな。それはそうと、その2人の受験生は受験が終わったらどうするのじゃ?」
「受験が終わったらですか? 特に聞いていませんが、旅行に行ったりして、おそらくのんびり過ごすんじゃないでしょうか」
「中学に進学してからは?」
「まあ、中高一貫で手厚いフォローもあるので、塾には通わずに勉強していくと思います」
「親も子もそう言っておったのか?」
「いえ、受験のことしか考えられない状況でしょうから、先の話はしていないです」
「そこはどうじゃろうな。
中学受験に合格することが
人生のゴールではない。
むしろ大事なのはその先じゃろう。
入学してからのことも考えると、春をのんびり過ごしてしまうことが子どもの将来にとってプラスになるのかどうか」
「確かに。中高一貫のカリキュラムはかなり速いですからね。春休みから貯金を作っておくと有利です。そうか、そこまではしっかり話をしていなかったです。目先の目標だけしか見えていない状態でした」
「仮に不合格になったとしても、
その先の目標を明確にしておくことで、
ここまでの努力が無駄ではないことや、
ここからさらに頑張っていくことが
重要であることを
子どもらも理解できるようになるじゃろう。
その話もしておくべきじゃな。はじめさんの学習塾の将来にとっても重要になってくるかもしれんぞ」