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税理士がサポート!『はじめて起業ものがたり』 「起業って何から始めればいいのか80 お客様にはできることとできないことを明確に提示するべきなのか?」

【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】

 

今回のポイント
 無理難題の要求にはまず保留 

 

 

この時期から受験勉強に本腰を入れる中学受験生をターゲットにして、ホームページを更新。学習塾のポータルサイトでもこの点をよりアピールできるものに変更。SNSも利用して告知を行ったところ、3日目で早くも反応があった。しかも1日に3件の問い合わせである。

 

 

4月の春休みや新学期であれば、どこの塾に通おうかいろいろ体験受験を受けてみて決めるという家庭が多いのだが、9月も下旬となるとそうもいかない。かなり切羽詰まっているので1日も早く始めたいという要望がほとんどだ。つまり問い合わせのあった中学受験生については入塾する可能性がとても高いということである。

 

同時に共通している点は、現状の志望校合格可能性がとても低いこと。さすがに合格可能性の高い受験生がこの時期に塾を乗り替えたり、いきなり始めるということはなかなか考えにくい。大手の進学塾であればそんな中でもニーズはあるかもしれないが、私のような小規模の個人塾は選ばないだろう。

 

問い合わせの3件とも都内在住で、都内の中高一貫校を志望していた。大手の公開テストや模試などは受けてきているので、得点や偏差値を確認したが、第一志望はまず手が届かない状態。理想と現実がかみ合っていないという共通点も見つかった。

 

ひとまず体験受験を受けてもらい、生徒の学力や勉強に向かう姿勢などを確認していく。問い合わせの翌日に早速スケジュールを組み、1件は私が担当。もう1件は受験生の指導経験のある学生アルバイト講師、最後の1件は生徒から絶大な人気を誇る石川に担当してもらうことなった。オンライン授業で、なおかつ個別指導なので都合はつけやすい。

 

50分のレッスンを行い、その後に保護者を交えた学習面談を行う流れだ。私を含めた3人の担当者の共通認識は、その場では入塾許可は出さず保留すること。よくよく話し合った上で結論を出すことにした。また、学習面談の際には志望校の現実に可能なラインを示すことも行う。それに対するリアクションも入塾許可を出すか出さないかの大事な要素になる。

経験上、「大丈夫です。合格させてみせます!」などと安請け合いすると、不合格になった際に必ずトラブルになる。

 

後々のトラブルを回避するため

 

提供できるサービスとして、

 

できることと、

 

できないことを

 

明確に提示することは重要

 

私が担当した生徒は、偏差値が50に届かない状態で、都内最難関校志望。柔らかくではあるが、偏差値50~52近辺の学校に志望校を替えるのであればレッスンを始められる可能性が高いことを告げた。保護者も第一志望校は難しいことは理解しており、第三・第四志望の学校が本命になるだろうという返答であった。これであれば可能性は残されているので、明日連絡することを告げて体験授業は終了。

 

もう1件も私のケースとほぼ同じような状態で、あくまでもそちらの志望校合格に向けた指導あれば可能である点と、週4回以上の授業を受けていただく条件を提示することで解決するだろう。

 

問題は石川が担当した生徒で、頑なに第一志望にこだわっていて、そのための指導を求めてきた。偏差値的には25も離れている。受験が1年先であったとしても厳しい学力だ。しかし、石川はその熱意に押されてほぼ入塾許可の話をしてしまっていた。スケジュールは週6日で1日4時間。月謝はなんとおよそ52万円とかなり高額になるのだが、費用については惜しまないというスタンスだった。

 

売上のことだけを考えると客単価52万円はかなり大きい。入塾すれば、1月までの限定だとしても、月の売上は120万円を超えていくことになるのだ。しかも石川はかなりやる気で、全部のコマを自分が担当すると言ってきたのでさらに悩む。

 

ここはやはり天海さんに相談をするしかないだろう。

 

 

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