【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】
11月からここまで続いた怒濤の如き多忙期がようやく終りを告げた。新学期を迎えたのである。
今日はその結果報告のために顧問税理士の天海さんの事務所を訪れていた。
「最終的に春期講習会からの入塾についてはどうじゃったんじゃ?」
「天海さんから授けていただいた策が見事にはまり、中学3年生は15人中8人が入塾となりました。やはり新学期のテキストを講習会最中に塾生に配布したことで、ムードが一気に変わりましたね。それによって塾生に受験生としての意識が芽生えてきたのが、講習会生にかなりの刺激になったようです。本当にありがとうございます!」
お茶を飲みながら私の話を聞いていた天海さんは何度も嬉しそうにうなずいてくれた。自分の話を受け止めてもらっていると実感できると、安心してさらにいろいろな話をしたくなる理屈がよくわかった。これが傾聴というものなのだ。思い返すと、常に天海さんは傾聴で接してくれていた。ここから学んで、アルバイト講師の2人に私も実践していかなければならない。
「そこで嬉しいご報告なんですが、これで新年度の塾生数が通塾生22名、オンライン生3名の合計25名となりまして、月の売上が51万円と、当初の目標であった50万円を突破したんです!」
「ほう。それは嬉しいことじゃな。はじめさんがここまで必死に努力を継続してきた成果じゃよ。おめでとう!」
「いえ、天海さんにたくさんのアドバイスをいただいたおかげです。感謝してもしきれないほどですよ。日本政策金融公庫への返済が月に38,000円、家賃が10万円、人件費が15万円ほどで、余裕があるとは言えませんが、かなり形になってきたと思います」
「成果に繋がった要因は何かの?」
「やっぱり塾生頑張りと、その影響力ですね。特に女子バレー部の生徒たちの入会と、そこからの取り組みや成長が大きな成果に繋がったのではないでしょうか」
「顧客の口コミは一番広告効果があるからの。
今後の課題点はどうじゃ?」
「はい。実はこの春に入会した生徒はすべて中学3年生なんです。現在、22名の通塾生のうち、18名が中学3年生ですから、来年に卒業してしまった後が問題です。塾生数が激減してしまうので、低学年の生徒を早急に集める必要があります」
「なるほど。それは重要な視点じゃな。それでは短期目標と中・長期目標をしっかりと定めておく必要があるじゃろう」
「中期の目標としては、1年後ですね。今の中学3年生が志望校に合格することです。ここが大きな評判になるのは間違いありません。全員合格を目指して鍛えていきます」
「その実績はかなりのインパクトになるじゃろう。短期の目標はどうじゃ?」
「この1年の成果を振り返ったときに、成績が低くても頑張り続けられる生徒を中学2年生中心に集めていきたいです。体育会系の生徒は、体力がありますし、互いに切磋琢磨するのに慣れているので、爆発的な成長も期待できます。中学3年生の塾生からも声がけしてもらって、夏休み明けには3倍くらいの人数にしたいです。と言っても、それでようやく6名なんですが」
「短期、中・長期目標ともにかなり明確になっておるから、何をすべきか具体的じゃな。
さらなる成果に繋げるためには、
そのように
『Keep』
(うまくいったこと、継続すべきこと)、
『Problem』
(うまくいかなかったこと、課題点)、
『Try』
(今後実施すべきこと)という
『KPTのフレームワーク』
を確認していくことが大切じゃ」