名言集コラム26 「エイブラハム・リンカーン氏に学ぶ・しかし、その勝利は短命である」

※これは独立したての経営者であるマモルと先輩経営者のショウの物語です。

 

マモル「先輩、どういったマネジメントをしたら、従業員のモチベーションを高めることができるのでしょうか?」

 

ショウ「そうだなー。面白い話があるぞ。献血を謝礼金制にすると、献血する人の数が増えるのかどうかという実験だ」

 

マモル「献血ってボランティアですよね。無償な状況で集まっている人数に、有償だからこそ集まってくる人数も合わさりますから、それは間違いなく増えるでしょう」

 

ショウ「イギリスの社会学者であるリチャード・ティトマス氏は、マモルとは真逆の仮説をたてた。つまり有償にすると献血する人数は減るというものだ。あくまでも仮説だけどな」

 

マモル「どうしてその人は減ると思ったんでしょうかね。実際にやってみれば倍以上の人数が集まるだろうに」

 

ショウ「そこで、四半世紀後にスウェーデンの経済学者が実際に試してみたんだよ。献血しようと集まった女性たちを、グループに分けて実験を行った。無償であることを伝えたグループの中で、献血した割合は、52%だった。では、およそ7米ドル(50クローナ)の謝礼金を支払うと伝えたグループの中で、献血した割合はどのくらいだったと思う?」

 

 

 

マモル「限りなく100%に近いんじゃないですか? だってもともと無償だと思って献血しに来ているわけですよね。それで謝礼金がもらえることを知ったらよりモチベーションは高まりますよ」

 

ショウ「そう思うよな。だが、現実は違った。献血した割合は、なんと30%だったんだ」

 

マモル「え? 無償であることを伝えたグループよりも少なかったということですか?」

 

ショウ「そうだ。これは金銭的報酬が、本来の目的に否定的な影響を与えたからだろう」

 

マモル「本来の目的?」

 

ショウ「利他的な精神で、困っている国民のために何かをしたいという自発的な欲求だよ。その人間のオートノミー(自律性)を無視するような行為は、モチベーションを低下させるということだろうな」

 

マモル「オートノミーを尊重することが、モチベーションの向上には重要なんですね」

 

ショウ「ちなみにイタリア政府が、献血した人に有休休暇を支給するという法令を制定した際には、献血する人数は増えている。有休休暇を得ることで、利他的な行動ができる幅がさらに広がり、モチベーションアップに繋がったんだろう」

 

マモル「成果主義のマネジメントだと、従業員のオートノミーは尊重できないのかな?」

 

 

ショウ「そもそも管理しなければ、人は怠けるという発想を変えるべきだろう。エドワード・デシ氏はリチャード・ライアン氏と共同で自己決定理論(SDT)を構築した。人間は普遍的に自分でやりたい、自分の能力を発揮したい、周囲の人々と関連をもちたいという願望を持っている。オートノミーを発揮し、自己決定したいのさ。そこが内発的な動機付けの鍵を握っているだろう」

 

マモル「経営者が管理しようという姿勢が、従業員のオートノミーを損なうことに繋がると?」

 

ショウ「アメとムチでモチベーションを高める時代は終わるだろう。そんなマネジメントをやっているようじゃ、本当に従業員のモチベーションは高め、パフォーマンスを発揮させている競合に勝てないからな」

 

マモル「先輩の話を聞いていると、マネジメントするなと言われている気がしてきました」

 

ショウ「アメリカの第16代大統領のエイブラハム・リンカーン氏は、『力は一切のものを征服する。しかし、その勝利は短命である』と述べている」

 

マモル「強制力では長期のモチベーションは維持できないということですか」

 

ショウ「大切なのは、見返りを期待することよりも、相手を喜ばせたいという気持ちを優先させるこのクリスマスの精神だろうな。それがこれからの時代に必要とされるモチベーションの在り方だろう」

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