※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
今回のポイントは、『不満を発する従業員への対応』になります。
ショウ「もうすぐ中小企業向けの無料セミナー開催日だろ? 準備は万全なのか?」
マモル「来客数は定員になりましたよ。先輩のアドバイスのおかげです。ありがとうございます。第二弾もすぐに開催することが決まりまして、嬉しい悲鳴です」
ショウ「そうか、それはよかった。じゃあ、問題なく開催できそうだな」
マモル「ええ……」
ショウ「ん? どうした、何か気がかりなことがあるのか?」
マモル「前回、先輩から笑顔で話をすることの重要性や、アイコンタクトの有効性をお聞きしたので、早速会社に戻ってみんなに伝えたんです。杉山くんと木梨さんは、うなずきながら納得して聞いてくれたんですが、肝心の橋本さんが反抗的でして……」
ショウ「橋本さんはセミナーでプレゼンする担当者じゃないか。どうして橋本さんは反対するんだい?」
マモル「本人は口では、そんな愛想笑いを浮かべながら話をしたのでは説得力に欠けるとか、嘘っぽく聞こえるとか、いろいろと理由をつけてくるんですが、要するに自信がないんだと思います」
ショウ「そういうのが苦手だと話してたな」
マモル「まあ、それが原因で橋本さんは、どこの事務所に所属しても、すぐに衝突することになって人間関係が悪化することになるんでしょうけど……」
ショウ「橋本さんは極端だなー。自動思考は過去の経験則に影響されるから、人それぞれだけど、ずいぶん歪んだ認知だ」
マモル「どうすれば、いいでしょうか。やはり僕ひとりでプレゼンした方がいいような気がするんですが」
ショウ「認知の歪みは、本人に気づかせることで直していくことは可能だけどな。あくまでも自発的な気づきが必要だろう」
マモル「外見など気にして仕事している人は集中力や質も低いとか、外見を気にする会社は仕事がわかっていないとか、橋本さんは不満たらたらで、頑なに拒否するんですよね」
ショウ「作家の井上靖氏は
『努力する人は希望を語り、
怠ける人は不満を語る』
と述べているからな。より多くの人にサービスを提供し、貢献していくためには、何かを変える工夫や努力をしていくべきだという発想が必要だろうに、その点ではやや怠け癖がついているのかもしれないな」
マモル「どうも橋本さんは、ここまで培ってきた自分の経験や実績にプライドを持ちすぎているように思えます」
ショウ「だからこそ、そこまで意地を張っているんだろう。誰でも成功してきたやり方や考え方、習慣みたいなものには固執してしまうものさ。しかし、そのままじゃマモルの会社は変わらないし、橋本さん自身も成長できない。ここは橋本さんにとっても、かなり重要なターニングポイントになるかもしれないぞ」
マモル「自分のやり方に対する執着を断ち切らせることなんてできますか?」
ショウ「難しいが、できるようにしなければならないだろう。ホンダの創業者である本田宗一郎氏の言葉には、
『もったいないようだけど、捨てることが、
いちばん巧妙な方法だ。
捨てることを惜しんでいるヤツは、
いつまでたってもできないね』というものがある」
マモル「自分のやり方への固執を捨てろということですね」
ショウ「強制では難しいだろう。あくまでも自発的な気づきがポイントになるな。俺も顧問税理士から勧められたことがあるけど、人生の輪がいいんじゃないか」
マモル「人生の輪? 何ですか、それ」
ショウ「自動思考に気づくためのコーチングのツールだよ。8項目あって、それぞれ主観で10段階の評価をつけていく。すると、無意識で目を背けてきた自分の一面が反映され、自分が何に満足していて、自己成長を加速するために何が必要なのかが可視化されるのさ。詳しくは顧問税理士に話をして説明を受けて、顧問税理士にコーチしてもらうのがいいだろう」
マモル「わかりました。ではすぐに顧問税理士さんにお願いしてみます!」