※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
今回のポイントは、『信頼関係の構築』です。
ショウ「いやいや…… マモルの会社の心配をしていたら、いつの間にか俺の会社の顧客も引き抜かれてしまったよ。長い付き合いがあった顧客じゃないが、お得意様だっただけに痛いな」
マモル「すみません。貴重な時間を割いて、僕の会社のことを気にかけていただいてばかりいた影響もあるんじゃないですか」
ショウ「マモルが責任を感じる必要はないだろう。完全にこちら側の油断だな。担当者もまさかそんな新興勢力に引っ張られることはないだろうと警戒していなかったようだ」
マモル「先輩の会社は大手ですから、そう考える従業員がいてもおかしくないですよ。しかし、相手はかなり幅広いネットワークを持った強敵ということですね」
ショウ「ああ、そうなるな。おかげでこっちの職場の緊張感は超ピリピリ状態だ。マモルの会社はどうなんだ?」
マモル「特に杉山が落ち込んでいます。担当していた顧客がかなり向こうに移ってしまいましたからね」
ショウ「そうか、いろいろトラブルもあったが、杉山君はようやくポジティブな方向に自分を変えられるようになったのに、それは残念だな」
マモル「そうですね。あの経験がなければ、杉山は今頃、完全に腐っていたでしょうね。かなり悔しい思いをしていますが、それでも堪えているのは杉山の成長ですよ」
ショウ「それは良かった。人は変わる気になれば変われるものなんだな」
マモル「まあ、イライラは隠しきれていないですけどね。ただ、顧客の前ではその様子を見せないように我慢はできています。内心は穏やかではないですよ。危機感は僕も同じように抱いていますしね」
ショウ「やはり大切な顧客を持っていかれて、悔しい気持ちはみんな一緒か……」
マモル「だからといって、気持ちがキレたらそれこそ終わりです、今いる顧客にも悪い影響を及ぼしてしまいます。まずは今いる顧客を大切に、心をこめて親身に対応していくことが最優先です。ここをしっかり乗り切ることができれば、必ず流れは変わるはずだと思っています」
ショウ「そうだな。腐ってしまったらそれこそ悪循環だからな。こちらを選んでくれている顧客に迷惑をかけることなく、しっかりと満足させられる対応をしていく必要がある」
マモル「僕たちも従業員全員で話をして、そういう結論になりました。努力しても成果が出なければ意味がないのでは? という意見もありましたが、顧問税理士さんが努力は宝くじみたいなものだと助言してくれまして」
ショウ「努力は宝くじ? ああ、映画監督としても有名な北野武氏の言葉だな。
『努力ってのは
宝くじみたいなものだよ。
買っても当たるかどうかはわからないけど、
買わなきゃ当たらない』だろ?」
マモル「ええ、その通りです。成果が出るか保証はありませんが、成果を出すためにはできる限りの努力を継続していかなければならないと、みんなの気持ちが一致しました。杉山が悔しい気持ちを切り替えて、しっかりと目前の顧客に誠心誠意対応できているのも、その視点に気づかせていただいたおかげです」
ショウ「なるほど。それは俺も会社の従業員に語らなければならない点だな。もしかすると気持ちがキレかかっている従業員もいるかもしれない。他の出来事に左右されずに、目の前にいる顧客に集中することを改めて徹底するよ」
マモル「相手が手強いとなると、やはり持久戦覚悟ですね。しっかり顧客満足を持続できる方が勝つはずです」
ショウ「はたして、あちらさんが今後どう動いてくるか、注意だけはしていかなければならないな」