※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
ショウ「どうだ、あれから少し経ったが、レンタル移籍の件は検討してみたか?」
マモル「はい。従業員とも話し合いまして、ぜひ受け入れようということになりました。事前に来てくれるので引き継ぎなどもできますし、何よりみんなは先輩の会社でバリバリ活躍している即戦力だという点に魅力を感じているようです。いい刺激をもらって、こちらの従業員が成長できるきっかけになると期待しています」
ショウ「そうか、承諾してくれたか。それは良かった。こっちももう話は通しているから、来週からすぐに移れる状態だよ」
マモル「え、そんなに早く来ていただけるんですか? 先輩はこの前、レンタル期間は半年間でも大丈夫だとおっしゃられていましたけど、本当に大丈夫なんですか?」
ショウ「ああ、それも問題ない。1ヶ月やそこらだと環境に慣れるのに精一杯で、パフォーマンスを発揮できずに終わりそうだからな。半年間マモルの会社で働かせてもらえたら、じっくり腰を据えて案件にも対応できるだろう」
マモル「こちらとしては助かりますが・・・・・・」
ショウ「最初の1ヶ月は無料レンタル期間としてこっちが給料を払う。残りの期間はマモルの方で負担してくれよ」
ショウ「わかりました。予定では2ヶ月後に杉山と木梨さんは新婚旅行に行きます。今回ご提案いただいたことで、ヨーロッパ中心に3週間ほど滞在することに変更したようです。こんなに長い期間、有給休暇が取得できるとは思ってもいなかったと喜んでいましたよ」
ショウ「杉山くんも喜んでくれたか。それは良かった。ただな、さっきマモルは俺の会社でバリバリ活躍していたと言ったが、どちらかというと真逆で、伸び悩んで戸惑っているような状態だ。あまり期待値が高いと、がっかりさせることにもなりかねないからな。その点が心配なんだが・・・・・・」
マモル「僕も実際に会ってみないことには何とも言えないのですが、前回の先輩の話からはそのふたりの潜在能力への大きな期待を感じました。ですから、僕は楽しみにしています。仕事に対しては常に受け身の姿勢だという話でしたが、こちらは少ない人数ですから自分が動かなければ仕事が進みません。きっと変わるきっかけになるんじゃないでしょうか。僕はこのふたりに対しては、感謝の気持ちと期待しているという気持ちを伝えていくつもりです。会社の従業員に対しても、ふたりについてポジティブな情報だけを伝えます。その方がきっとお互いに働きやすい環境になるでしょうし、成果を出せるようになると考えているからです」
ショウ「そうか、そこまで考えてこの話を受けてくれたのであれば安心だな。しかし、マモルはリーダーとしての役割を果たせるようにすっかり成長したな」
マモル「リーダーとしての役割ですか?」
ショウ「そうだよ。フランスの軍人で皇帝にもなった英雄ナポレオン・ボナパルト氏の言葉には、
『リーダーとは、希望を配る人のことである』
というものがある。うちからレンタル移籍する上田と望月は、はっきり言って自己評価が低い。自己評価が低い故に、無意識で自分にブレーキをかけていてパフォーマンスを発揮できていないんだ。マモルがそうやってポジティブに関わってくれることでふたりはきっと変われるだろうし、マモルの会社に貢献できるはずだ」
マモル「先輩のご期待に応えられるように、僕も頑張ります!で、いつそのふたりには会えるんですか?」
ショウ「実はこの後、ここに来るんだ」
マモル「これから会えるんですか?」
ショウ「俺がいると話しにくいこともあるだろうから、紹介だけしたら、俺はこの場を離れるよ。後から感想を聞かせてくれ」