※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
ショウ「しかし、新型肺炎の被害拡大の影響もあって、連日のように日経もダウも続落だよ。まるで世界同時株安だ。2019年10-12月のGDP速報値は消費税増税で5四半期ぶりに年率でマイナスだったが、2020年1-3月には新型肺炎が反映されるから、ひょっとしたらマイナスが2四半期連続で続くかもしれないな」
マモル「オリンピック中止ともなれば4-6月のGDPにも大きな影響がありそうですね。人の命にも関わる話なので、一日でも早く沈静化してくれればいいのですが…… 実はこの景気後退を受けて、橋本さんがまた弱気になってしまっていて……、こんな中で50歳にもなる自分が起業しても本当にやっていけるのかと深刻に悩んでいます」
ショウ「また、その話か。まあ、しかし、思ってもいなかったような事態だからな、仕方ないか…… なかなかポジティブには受け止められないだろう」
マモル「今回の新型肺炎でも、高齢者の方が免疫力の関係でリスクが高いという話も少なからず気にしているようです」
ショウ「それはまったく関係のない話だろう。確かに体力面では若者には劣るかもしれないが、経年者にはそれを補って余りあるほどのスキルや経験値というアドバンテージがある。人脈もあるしな。むしろ成功する可能性は高い。2008年にライフネット生命保険相互会社を設立した山口治明氏は、当時60歳だったからな。若い頃に成功する人もいれば、50歳、60歳になってから成功する人もいるってことだ。それは人それぞれだろう。桜のように同じ時期に開花するわけじゃないからな。身長だって小学校低学年の時期に伸びる子もいれば、中学生の後半になってグンと伸びる子だっている。人の開花の時期はバラバラだよ」
マモル「そうですよね。橋本さんは年齢を気にして自分で自分にブレーキをかけているように見えます。だから自分自身がドリームキラーになってしまっているんです」
ショウ「ドリームキラー? なんだそれは」
マモル「人の夢や目標を諦めさせる障害です。他人がチャレンジしようとしている時に、不安材料を並べて、チャレンジを諦めさせようとする人もドリームキラーのひとつですね。この場合は、他人に成功して欲しくないという気持ちも働いていますが」
ショウ「なるほど。他人ならばいざしらず、自分で自分の夢をぶち壊していたんじゃ意味ないな。それじゃ、ひとつ、橋本さんには、長州藩士だった吉田松陰氏の言葉を伝えておいてくれ」
マモル「幕末の志士に大きな影響力を持っていたあの吉田松陰ですか? 彼は30歳になる前に亡くなっていますよね。典型的な早熟タイプじゃないですか」
ショウ「まあ、聞けよ。彼は
『悔いるよりも、
今日直ちに決意して、
仕事を始め
技術をためすべきである。
何も着手に年齢の早い晩いは問題にならない』
と語っている。吉田松陰氏自身は早熟かもしれないが、年齢なんてものは問題じゃないと述べているのさ。だから高齢だからって遅いということはないんだよ。問題は迷って無駄な時間を費やし、時期を逸することだろう。これが自分自身の開花を妨害し、後で最も後悔するパターンだ。確かに今は厳しい世相ではあるが、ピンチはチャンスとも言うからな。こういった事態では、橋本さんの石橋を叩いてもなかなか渡らないような慎重さが今まで以上に尊重されるようになるかもしれない。だとすれば成功する可能性は高まっているだろう」
マモル「そうか、大器晩成って言葉もありますからね。橋本さんの迷いを打ち消すためにも、先輩からの言葉を伝えます」