※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
ショウ「まさかマモルとまで、こうしてSkypeで話をしなければならなくなる日がくるとはな。従業員でひとり新型肺炎を発症してしまってな、会社は消毒作業をして2週間は完全に使用不可、濃厚接触者は全員自宅待機の状態だよ。しかも自宅でも自分の部屋に隔離されているので、家族ともまったく触れ合えない」
マモル「顧問税理士さんから知らせを聞いて驚きました。仕事はどうなっているんですか?」
ショウ「まさに不幸中の幸いだが、コンサルティング業はテレワークでもなんとか対応可能だからな。体調不良じゃない従業員は、俺も含めて自宅で働いているよ。といってもこんな事態を見越してテレワークの仕組みを導入していたわけじゃないから、遅々としてはかどらない状態だ。もう少しルールを構築したりして事前に整備しておくべきだったな。マモルの会社は大丈夫か?」
マモル「一応、全員無事です。フレックスタイムですが、全員出勤しています。ただ、今後の状況次第では、僕たちも自宅待機で働くことになるかもしれません」
ショウ「終息の目処がまったくたっていないという点が大きな問題だな。クライアントにも様々な影響が出てきている。実際にコンサルが一時的にストップすることになったクライアントもいくつか出てきた。これは2008年のリーマンショックを超える経済的なダメージになりそうだな」
マモル「そうですね。終息時期どころか、ピークの時期もわからない状況ですからね……。僕の会社のクライアントもしばらくの期間、会社を休みにしたところもあります。経営状況が悪化して契約切れとなったところも出てきました。新規の顧客獲得もできていません。ですから僕の会社もかなり重大な局面にいるのは間違いないです」
ショウ「ここは辛抱だな。国の支援も具体的に決まってくるだろうし、なんとか状況が改善されるまで耐え忍ぶしかない。マモルの会社はいきなり経営破綻ということはないよな」
マモル「テレワークなどで対応可能なクライアントも複数いますから、売上がゼロになることはなさそうです。従業員の数は限られていますので、人件費はギリギリなんとかなるでしょう。多少は赤が出ると思いますが、しばらくはしのげる見通しです。なにせクライアント側の経営状態が正常にならないことには、なかなか厳しいですね」
ショウ「あまり悲観的にはなりたくないが、本格的にロンドンやニューヨークのようにロックダウンになった場合のことも考えなければならないな。そうなるとさらに数週間は動けなくなるぞ」
マモル「最悪の事態は想定しておきます。5月までに経営がさらに悪化した場合は、首が回らないかもしれませんが……」
ショウ「この期間の売上減少は仕方ない話だ。どこも同じような苦しみの中にいる。大切なのはここからだな。アメリカの第37代大統領を務めたリチャード・ニクソン氏は、こう述べている。
『人間は負けたら
終わりなのではない。
でも、
辞めたら終わりなのだ』
とね。実際にニクソン大統領はいくつもの大胆な政策転換で難局を乗り越えている。厳しい状況に追い込まれるのはいつの時代でも同じだよ。そこで負けても辞めない、工夫と辛抱で乗り越えていこうという断固とした決意が経営者には必要だろう。」
マモル「ありがとうございます。先輩のお話を聞けて勇気が湧いてきました。いつのまにかかなりネガティブな心理状態になっていましたね。終息の日が来ることを信じて、やれることをもっと探してチャレンジしてみます」