【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】
女子バレー部所属の2人の塾生の活躍のおかげで、無料体験会に5人の友達が参加してくれただけでなく、なんとその5人全員が11月からの入会と決まった。紹介制度開始→無料体験会参加→入会とまさにトントン拍子に話が進み、自分自身でも驚いているぐらいだ。
小学5年生の塾生が転校してしまうので、塾生は4人に減ってしまっていたが、そこから倍増以上の9人になったのである。
夏休みからの個別カリキュラムによる親身な指導によって、塾生の勉強の姿勢が変わり、習慣が身につき、成績も上がった。4ヶ月かかりようやくここまでの取り組みが実を結んだのだ。
私は起業してからもっとも嬉しい報告をするため、午前中の空き時間で天海さんの税理士事務所を訪れていた。
「よかった、よかった! ここまでのはじめさんの努力が報われたの」
「実はオンライン授業の問い合わせも2件ほどありまして、もしかするとそちらも入塾となるかもしれません。授業はどちらも土日の午前中を希望しているので、現在の塾生とスケジュールも組みやすいです。かなりいい流れがきている感じがします!」
「いや、いや、
今月から日本政策金融公庫の
元金返済が始まるところじゃったから、
ギリギリセーフというところじゃな」
「そういえば、もう融資を受けて5ヶ月が経過したのか。ということはこれまで利息分の5,000円だけを返済していましたが、今月から返済額が増えるということですね」
「そうじゃ。元金分の38,000円と利息分の5,000円で、毎月43,000円の返済額じゃ。これが7年間続く」
「ひとまず、塾生が9人になったので、毎月の収入は18万円です。家賃が毎月10万円で、返済額が43,000円だから、光熱費を含めても支払い可能ですね。まあ、生活費については当面貯蓄を切り崩すことになりますが・・・・・・」
「はじめさんの教室は石油給湯器じゃったろう、ここのところの原油価格の高騰で、燃料となる灯油代もかなり高くなっておる。この冬は予定よりも大幅に光熱費が上がるじゃろうから、余計に心配しとったところじゃった」
「あと5人塾生が増えればかなり余裕ができますね。まあ、とりあえずは元金の返済開始に間に合ったので良かったです。実は、据置期間を延長してもらおうかなとかも考えていたんですよ。据置期間は2年間まで可能だという話を聞いたので・・・・・・」
「基本的に融資を受けてからは据置期間を変更することはできないんじゃよ。もし据置期間を1年間としていても、ただ利息を1年間払い続けるだけで元金は減らん。しかも同じ返済期間となると、毎月の負担は大きくなる。だからこそ
当初の予定通りに
5ヶ月で軌道に乗せることが
重要なポイントなのじゃ」
「そうでしたか、そう聞くと今更ながらヒヤヒヤものですね。安易にリスケができるものだと勘違いしていました」
「日本政策金融公庫も鬼じゃないぞ。個人事業の難しさはよく理解しておる。事業者が体調不良で倒れたら事業は立ちゆかなくなるというリスクも承知のうえでの融資じゃから、事前に相談しておけばリスケジュールもまったく無理というわけではない。しかし、はじめさんはこの5ヶ月の間に打てる手はすべて打って、見事に成果を出したのじゃからリスケジュールをする必要はあるまい。これが理想的な展開じゃよ」
「危機的な状況に陥る前に、
天海さんにいろいろ
ご相談させていただいて良かったです。
それがなければ到底ここまで間に合っていなかったですよ。本当にありがとうございます!」