※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
ショウ「いよいよゴールデンウィークに突入したな」
マモル「いやー、まったく実感が湧かないですね。花見もなければ、プロ野球の開幕戦もないままここまで来ましたからね。季節感がなくなってしまっている中で、いつの間にかゴールデンウィークに入っていたという感じです。こんなことは初めてですよ」
ショウ「この時期の新幹線の乗車率が、自由席で0%だとニュースでやっていたぞ。例年と比較すると信じられない話だな。どうやら本当にみんなオンライン帰省を行っているようだ」
マモル「先輩はどうするんですか?」
ショウ「どうするもこうするも外出できない状態だからな。今年は帰省を諦めたよ。そうだ、マモルの話をしていたオンライン飲み会に俺も参加してみたんだ」
マモル「そうなんですか、先輩の会社の方たちとですか?」
ショウ「それだとみんな気をつかってリラックスできないだろう。だからまったく別のオンライン飲み会に参加してみたよ。いろいろな経営者が気軽に参加できるものだ。マモルの言っていた通り、いろいろな業種の人たちと話ができて刺激も受けたし、勉強にもなる。これはとても有意義な機会だな。いつもなら出会うことがないだろう人たちとも知り合えた。ここから新しいプロジェクトも生れそうだよ」
マモル「さすが先輩、いいなと思ったら実行に移すのが速いですね。僕も以前はよく参加していたんですが、最近は減ってきています。今週は先輩とのオンライン飲み会の一度だけですね……」
ショウ「あれ? そうなのか。もっと頻繁にやってるのかと思っていたが」
マモル「とてもエネルギッシュで、前向きで、行動力のある人たちと話をしていると、確かに僕も刺激を受けるんですが、一方で焦りも出てきちゃって。みんなこの逆境の中でアイディアを出して乗り切ろうといろいろチャレンジしているのに、僕はもがいているだけの状態ですから…… 何かしないと、とは思っているんですけどね」
ショウ「焦りか。先行きがなかなか見通せないだけに、余計にそういった思いも強く抱いてしまうのかもしれんな。この人はうまくいってるのに、自分はうまくいっていない、だから自分はダメなんじゃないか、そういった感じか?」
マモル「以前はそこまでネガティブな発想になることはなかったんですが、状況が状況なので、気持ちの余裕がなくなってきています。やはり大企業と比較するとどうしても不安定に感じてしまうんです」
ショウ「そうか。堀場製作所の創業者である堀場雅夫氏は知っているか?」
マモル「ベンチャー起業のパイオニア的な存在ですよね」
ショウ「ああ。堀場氏も、大企業を見るとどうしても嫉妬してしまう気持ちはわかると述べている。それを踏まえたうえで伝えたのが、
『隣の芝生は青くて当然だ。
大事なことはそこから
どう思い、どう動くかだ。
闘争心を持ち、発奮することだ』
という言葉だよ。そもそも人は他人の恵まれた部分に目を奪われがちだ。ただ、今のご時世、大なり小なりみんなたいへんな思いをしながら毎日を過ごしている。自分だけがたいへんなわけではないし、自分だけが不幸なわけでもない。他人と自分を比較するから嫉妬や不安が募るんだから、比較なんてやめてしまえ。必要なのは先が見えない中でも前へ進む勇気だよ。その刺激を受け取ることが肝心だろう」
マモル「逆境には慣れっこになっているつもりでしたが、いつの間にか気弱になっていました。新型コロナウィルスに負けない闘争心を持って、やれることをもう一度探してみます」