※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
ショウ「こうやってのんびりと温泉につかるのもずいぶん久しぶりだな」
マモル「そうですね。一番リラックスできるのは、やっぱり温泉なんだなーって心底思います。美味しい料理を食べて、美味しいお酒を飲んで、眠くなったらいつでも寝ていいっていう環境がまたそう思わせる要因なんでしょうね」
ショウ「まあ、たまにはそういったリセットするタイミングも必要だろう。10月もまたいろいろありそうだからな」
マモル「いろいろですか?何かありましたっけ……」
ショウ「アメリカ大統領選挙も目前だ。今週は現大統領と候補者ふたりの初めてのTV討論会も開催されたし、いよいよ本格的に動き出すだろう。アメリカは世界一の経済大国だから、そのアメリカが動けば世界もその影響を大きく受けることになる。これからの株価の変動はまさに情勢の変化を表す数値だな」
マモル「そうか、大統領を決める選挙は11月か。共和党が死守するのか、民主党が奪還するのか、その結果によってアメリカが抱えているたくさんの問題がどう対処されるのか変わってきますね。4年前の前回は思わぬサプライズでしたし、民主党有利という情勢ですが、今回もどうなるかわかりませよ」
ショウ「今のアメリカの失業率の高さを見る限りだと再選は考えられないが、今回はコロナ禍や中国との貿易摩擦という特殊な要因が背景にあるから、前例はあてにならないかもしれないな。そのあたりのアピールは、現大統領は上手いだろう」
マモル「不思議ですよね、あれだけ国内に亀裂を生じさせているのに、支持者層は一貫して揺るがない。対外的にも対話より対立を生み出しています。国民性の違いもあるのかもしれませんが、なぜそんな人物がアメリカの大統領に選ばれるのかなかなか理解できないです」
ショウ「これからの時代はグローバル化が今まで以上に加速していくことになるだろうから、他の国の考え方や価値観についてもっともっと理解していく必要はあるだろう。それができる国や企業が躍進していくことになるはずだ。注目すべきは、現大統領が確かに実行力を示したことだろう。公言したアメリカファーストを徹底しているし、経済効果ではダウ平均株価指数も市場最高値をつけている。トラブルも確かに多いが、それに匹敵する魅力も兼ね備えているということだろう。今回の討論会の内容は酷評されているがな」
マモル「表と裏、どちらを評価するのか分かれるところなのでしょうが、僕としてはメリットをいくらアピールされても、デメリットの方が強く感じてしまいますね」
ショウ「保守派ではないリベラル派も同じ思いかもしれないな。ただ、ひとつ知っておくべきことがある。デンマークの哲学者でセーレン・キルケゴール氏の言葉だが、
『人を誘惑することのできないような者は、
人を救うことはできない』。
これが西洋の価値観のひとつかもしれない。そしてこれはビジネスシーンにも当てはまるかもしれないということだ。嘘偽りのアピールはまったく無意味だが、実際にどれだけ経済や人を動かしてきたのかということは、大きな希望として受け入れられる可能性がある。その点を明確に相手に伝えて、自分や自分が経営する会社の魅力をアピールしていくことは、今まで以上に必要になってくるのかもしれない」
マモル「誘惑ですか、あまり好きな言葉ではありませんが、僕も相手を惹きつける力は大切だと思いますね。今回の大統領選で、どのような手法があるのか注目してみます。そう考えるとTV討論会は勉強するための重要な機会ですね。2回目に向けて批判されている現大統領がどう切り替えてくるのかも楽しみです」